The big blue world

 テレビ広告や、店頭などでその名前を耳にした方も多いと思うが、そもそもミラーレス一眼とはどういう商品なのだろうか。簡単に説明したい。

 デジカメには従来から「一眼レフ」というジャンルがある。コンパクトデジカメに比べて、起動やオートフォーカスなどの動作が早く、画質が良い。ただし、ボディーサイズは大きいというのが特徴だ。

 少し専門的な話になるが、一眼レフのボディを大きくしているのは、構図を決めるために覗くファインダーに光を反射させるミラーにその原因がある。ミラーを使ったファインダーのおかげで、見たままを撮影できる快適性が実現しているのだが、その分、ボディを大きくしてしまっているわけだ。

 ミラーレス一眼というのは、その名前の通り、このミラーを取り除くことで大幅にボディを小さくすることに成功した商品ジャンルのこと。

 ミラーによる反射に頼らず、電子的に撮影する対象を画面に表示させている。

 ミラーレス一眼は登場当初こそ、一眼レフタイプに比べて、オートフォーカスが遅い、液晶の表示が荒くピントの状況を把握しにくいという声が聞かれたが、今ではそれらの問題点を克服しつつある。

 入門型の一眼レフデジカメと比べて、機能的な差は埋まりつつあるのだ。そのため、コンパクトデジカメよりも、快適に綺麗に撮りたいというニーズにおいて、入門型の一眼レフデジカメとミラーレスデジカメは市場が重なるようになってきている。

● 参入遅かったキヤノンとニコン 満を持して投入

 このミラーレス一眼のジャンルにいち早く参入したのが、2008年のパナソニック。以降、オリンパス、ソニー、リコー、ペンタックスなどほぼ全てのメーカーが参入してきた。

 ところが、デジカメ最大手のキヤノンとニコンの参入は大幅に遅れた。なにしろ、ミラーレス一眼は、入門用の一眼レフの市場を侵食する可能性がある。

 キヤノンやニコンの2社は2011年で、一眼レフ市場シェア約9割と圧倒的存在。かつて参入していた企業も含めれば、キヤノン、ニコン、ペンタックス、オリンパス、ミノルタ、コンタックス(京セラ)など多くの日本のメーカーが一眼レフを販売していたが、今ではキヤノンとニコンの独壇場なのである。

 こうしてみると、一眼レフデジカメの市場シェアが低いメーカーは早々にミラーレス一眼に参入し、一眼レフで盤石な地位を築いた2社は参入が遅れたという構図が、はっきりと見て取れる。

 また、そうした経営判断とは別の次元の問題もある。

 電子式の表示の性能は徐々に上がっているとはいえ、ミラーを使って直接光を反射させる表示に比べて、どうしてもタイミングや表示の速度において遅くなる。従来の一眼レフメーカーにしてみれば、ハイエンドなカメラの造りにおいて、電子式の表示のみに転換するということは、カメラ造りの姿勢の転換も意味する。

 こうした事情から2社は遅れたが、ニコンが2011年に参入し、キヤノンは2012年に登場が予想されている。しかも相当、クオリティの高いミラーレス一眼を投入してきそうだ。

 二社が参入したのは、今や、ミラーレスが無視のできない市場規模になってきたということと、電子式の表示画面の性能が向上してきたということがある。

 ミラーレスのもつ実力について、プロカメラマンや写真愛好家はどのように見ているのだろうか。

 自身も広告カメラマンで、また、広告やファッション雑誌向けのカメラマンを多く抱え、マネジメントをしているマッシュの伏見行介社長は「現在、広告やファッション撮影といった分野でミラーレス一眼を使っているカメラマンは見たことがない」と前置きするものの、「しかし、オートフォーカスの速度は急速に改善しているから、あとは、電子式のファインダーの表示能力があがれば、将来的には、ミラーレスを仕事に使うプロカメラマンも登場するかも知れない。少なくとも、趣味で使うカメラとしては、完成度は既に高い」と解説してくれた。

 富士キメラ総研によれば、2011年には、世界市場で一眼レフデジカメは1474万台、ミラーレス一眼は410万台だが、2015年には逆転し、ミラーレス一眼は1800万台、一眼レフは1700万台になると予測している。

 しかし、一眼レフデジカメ陣営も黙っていない。ミラーレス一眼に参入するだけでなく、当然だが、一眼レフデジカメの拡充も図る。

 特に今年は、キヤノン、ニコンの初級~中級機の多くが刷新されると言われている。また、今年開催されるロンドンオリンピックを控え、すでにキヤノンとニコンはマスメディアが業務で使うような最高機種の新機種を発表している。

 ミラーレス一眼から、一眼レフの初級~最高機種まで、一気に新しいものが登場する2012年は珍しい年といえる。

 本稿冒頭で、購入を迷っている人にとって今年は買い時と書いたが、魅力的な商品が多すぎるから、むしろ、さらに購入を迷ってしまうかもしれない。
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